
皆さん、師走を迎え慌ただしく過ごされていることと思います。
今年も残りわずかとなりました。今日は医療費について考えてみたいと思います。
現在の日本の医療は国民皆保険によって賄われており、体調を崩した時に誰でも比較的安価に、どこでも医師に診てもらい適切な医療を受けることができます。
外国では医療費が高いことや、気軽に医師の診察を受けられない国が多くあるようです。
保険料は給料や年金から天引きされますが、医療時の窓口負担は1~3割と比較的安価です。
しかし、現在の日本は高齢化により高齢者の医療費が伸びていること、高額な薬剤(抗がん剤や難病、アレルギー疾患)が増えていること、そして少子化により保険料の負担が上がってきていることが問題となっています。
このままでは、将来的に国民皆保険を維持することが難しくなるかもしれません。
そこで、患者の皆さんができる医療費の節約方法を2つ提案してみたいと思います。
慢性疾患で定期的にお薬をもらっている方は、飲み残し(残薬)が出てくる方も多いと思います。
その場合は、受診時に医師に残薬状況を伝えて、残薬の分、処方から引いてもらうようにしましょう。
医師には言いにくいという方は、薬局の窓口で伝えてください。処方元へ報告の上、残薬の調整ができます。
ご自身で自覚症状があった時にお薬が追加され、その症状がなくなった後、医師とお薬の継続や中止についてよく話し合ってください。
例えば、胃が痛くて胃薬が追加され、服用により症状は治まったが、その後も処方がずっと継続されている。
あるいは、咳や痰が気になり薬が追加され、症状は治まったが処方は継続されている……といったケースは珍しくありません。
もちろん、症状が治まったからといって、そのお薬を中止することがすべて正しいとは限りませんが、医師と相談の上、やめられる薬はやめることが患者さん自身や医療費(お薬代)にとってメリットがあるはずです。
来年の4月からは、OTC(市販薬)に似た効果を持つ処方箋薬について、お薬代の4分の1から2分の1程度が患者負担となることが検討されているようです。ご自身の負担がこれ以上増えないよう、お薬の節約から考えてみませんか。
それではお体に気を付けて、よいお年をお迎えください。

短すぎる秋が終わりを迎え、早くも冬が到来しつつあります。
今回は冬の感染症の定番、インフルエンザについて書きたいと思います。
今シーズンはインフルエンザの流行が例年に比べて早く、すでに11月末で流行期に入っていると言えます。
まずは予防についてですが、当たり前ですが、手洗い、うがい、部屋の換気、加湿、適切な睡眠や食事摂取になります。
高熱や倦怠感、関節痛等の症状があらわれ、「インフルエンザにかかってしまったかもしれない」と思った場合は、医療機関の受診をお勧めします。医療機関でキット検査を受けて、インフルエンザにかかっているかを検査します。
抗ウイルス薬の服用と注意点
インフルエンザ陽性だった場合、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬の処方が受けられます。
それでは、インフルエンザにかかることなく、今シーズンを乗り切ることを願っています。



いや~、まだまだ暑い日が続きますね。
今回は、最近、流行に入りつつあるコロナウイルス感染症について書きたいと思います。
新型コロナウイルス感染症ですが、2類から5類感染症へ移行し、2年以上がたちました。
流行当初は100年に1度の感染症と大騒ぎになったコロナですが、感染した方も多くなり、慣れてしまった感染症になりつつあります。
しかし、令和5年度(2023年)の日本人の死因第8位で、インフルエンザよりも毒性が強く、まだまだ注意しなければならない感染症であると言えるかもしれません。
まずは予防についてですが、換気、マスクの着用、手洗い、うがい等になります。
夏はエアコンが必須なので、換気は難しくなってくるかもしれませんが、人が密集する場所ではマスクの着用が効果的かもしれません。
また、今年度も高齢者については自治体よりワクチン接種の補助が出る予定と聞いていますので、医師と相談の上、ワクチンを接種しておくことも重症化予防という意味では大切です。
次にコロナウイルス検査キットについてですが、医療機関で検査を受けるか、薬局でキットを購入し、自宅でご自身で検査される2パターンがあるかと思います。
いずれの場合でも、キット検査をするにあたって、ポイントがあります。
それは症状が出てから、1日たってから検査するとよいです。
なぜなら、症状が出始めて、すぐに検査した場合、体内でのコロナウイルス量がまだ少なく、感染していたとしても検査キットで陽性反応が出にくいことがあるためです。
最後にコロナウイルスの増殖を抑制する経口薬についてですが、基本的には高齢者や呼吸器、心臓、腎臓が悪い等の基礎疾患を抱える患者さんが服用の対象となります。
経口薬は妊婦の方は服用できなかったり、併用薬がある方は、併用薬の関係で服用できなかったり、あるいは腎臓が悪い方は、お薬の減量が必要になったりするので、お薬手帳を持って医師によく相談してください。
コロナウイルスへの理解を深めて、流行期へ備えましょう。

2025年7月
熱中症対策:経口補水液と受診のタイミング
主に熱中症の予防・対策に使われる経口補水液(ORS)と受診のタイミングについて書いてみたいと思います。
まず、経口補水液とは、水分、糖分、塩分が体液に近い組成で含まれているため、水分吸収が速やかな飲み物と考えてください。
具体的には、所ジョージさんのCMで有名なオーエスワン(OS-1)、アクエリアス、ポカリスエットが有名かと思います。
これらの経口補水液は、熱中症の予防で汗をかいたとき、例えば運動や屋外作業時など、いつもより発汗量が多いときや、熱中症が疑われるときに飲んでください。発汗があまりない通常の状態では、水分(水か麦茶がお勧め)と食事の摂取が適切にできていれば十分です。
経口補水液には糖分、塩分が含まれているため、発汗とは無関係に日常的に摂取していると、糖尿病、心臓病、腎臓病の方は疾患を悪化させる恐れがあります。
これらの疾患を抱えている方は、事前に医師と経口補水液の摂取について確認をしておきましょう。
次に、受診のタイミングについて書いていきます。
熱中症の疑いがある場合やかかってしまった場合は、以下の点を参考にしてください。
*意識がなければ:直ちに救急車などで受診すること。
*意識があっても経口補水ができない状態なら:すぐに受診となります。
*経口補水ができる場合:経口補水を行い様子を見て、症状の回復がなければ、すぐに受診しましょう。
熱中症に十分注意しながら、この暑い夏を何事もなく乗り切ることを願っています。
それではお元気で、いってらっしゃい!!

2025年6月
夏場に元気になってくる、あいつの話

2025年5月
ジェネリック医薬品について
曇りや雨の日が多く、湿度も高くなってきました。
もうすぐ梅雨の時期に入りそうですね。
今回はジェネリック医薬品(後発医薬品)について書きます。ジェネリック医薬品とは新薬(先発医薬品)の特許期間が終了した後、同じ有効成分を同量含み、同じように体内で吸収されることが確認された上で製造販売される医薬品のことです。ジェネリック医薬品は新薬のようにゼロから研究、開発し臨床試験がなされている薬ではないため、開発費が低く抑えられている分、価格はジェネリック医薬品の方が安いです。そのため、ジェネリック医薬品は医療費を抑えるために、世界中で積極的に使用が促進されている医薬品です。
時々、患者さんにジェネリック医薬品の効果は、新薬と比較して大丈夫かと聞かれます。それについては、生物学的同等性試験が実施されています。その試験とは、ジェネリック医薬品と新薬を比較し、両者が同じように体内で吸収され、同じように血中濃度に到達し、理論的に同様の薬理作用を示すことを証明する試験を指します。ですから、効果も同等かと思います、と返答しています。
患者さんの許可を得て、新薬からジェネリック医薬品に変更した場合、実際には大半の患者さんで効果に問題なく継続されていることが多いですが、一部の患者さんからは効果が違う、低下したと言われることもあります。その場合は、薬局で薬剤師に相談して、もとの新薬に戻してもらうとよいでしょう。
昨年10月からは、医療費抑制の政策として医薬品の選定療養という新しい制度が始まっています。ジェネリック医薬品がある医薬品で、ジェネリック医薬品ではなく新薬を希望して処方、調剤してもらった場合は、お薬代の一部が保険適用外となり、支払いが高くなるという制度です。ジェネリック医薬品ではなく新薬を希望した場合は、支払いが通常より高くなるため、ご自身でお薬代の一部を保険なしで支払うことになります。これは、なるべくジェネリック医薬品を使用してください、という趣旨の制度です。高齢化社会で医療費が高騰している今の日本で、国民皆保険制度の維持とご自身のお薬代の節約のために、ジェネリック医薬品とうまく付き合っていただければと思います。

2025年4月
薬局コラム
桜満開、入学式に入社式、春本番の季節になってきました。
今回は低血糖について取り上げてみたいと思います。
時々、糖尿病の患者さんに、薬局の窓口で聞かれます。
「低血糖って、どんな症状が出るの?」
お答えしていきます。
低血糖は血糖値で70mg/dL未満になった状態を言います。この状態になってくれば、低血糖の症状が出てくる場合があるのですが、症状のキーワードは、はひふへほで覚えてください。
「は」は腹が減る
「ひ」は冷や汗
「ふ」は手足のふるえ
「へ」は変にドキドキ(動悸)
「ほ」は放置で昏睡
「ほ」は、よほど血糖値が低くならなければ、起こらない症状なので、過度におそれる必要はないかと思います。
次に、この低血糖ですが、原因の大半は糖尿病の薬物治療で起こる副作用の場合が多いようです。ですが、最近の糖尿病の薬は、低血糖を起こしにくい薬が多く登場しており、以前に比べると低血糖のリスクは下がってきています。
ですが、低血糖が危惧される薬が主に2種類あります。それはインスリンの注射とSU薬と呼ばれる飲み薬です。この2種類のお薬は他の糖尿病の薬に比べて、低血糖を起こすリスクが高いので注意が必要です。
ではどのような場合に、低血糖を起こしやすいのでしょうか?それは、食事が摂れないときや食事量が少ないとき、また運動量が多いときや、多量の飲酒をした場合等が挙げられます。このような場合は、通常より血糖値が低くなり、また糖尿病の薬はいつもと変わらず摂取しているため、より血糖値が下がってしまって、低血糖になってしまうという理屈です。
最後に低血糖の症状が出たと思ったときは、すみやかにブドウ糖10g、砂糖20g、コーラやファンタなどの甘い清涼飲料水、チョコレート、飴等を摂取しましょう。ブドウ糖は薬局の窓口で、貰えるかと思います。10~15分くらいで回復してきます。治らないようなら、再度摂取して様子を見ましょう。それでも回復しないときは、早めに受診や救急車を呼んでください。そして定期受診の際に、どのような場合に低血糖が起こったかを必ず医師に報告してください。薬の中止や減量、変更等を考量してくれます。
正しく低血糖を理解し、低血糖をおそれ過ぎず治療に取り組みましょう。頑張ってください!!

2025年3月
花粉症シーズン到来ですね!
こんにちは、薬剤師の細川です。
「花粉症の本格的なシーズン、本当に憂鬱ですね。私もくしゃみと鼻水が止まらず、毎日ティッシュが手放せません。今回は、そんなつらい花粉症の症状を和らげる3つのアイテムをご紹介します。」